大阪商業大学商業史博物館のバーチャル書庫閲覧室です。

米切手


概要

米切手について

 
  米切手は通称名で、扱う産物の大半が米だから米切手と云われている。米以外に大豆や生蝋・黒砂糖・小麦などもある。これらの呼び名は商品を冠にして呼ぶ。
本国から廻米(秋に収穫された新米)され、本船から上荷船に積み替えて大阪の蔵屋敷に運び、蔵納めをする。佐賀藩の場合は米の落札者が敷銀として3俵で銀3匁を翌日掛屋に支払う。
その後、7日から10日限りで掛屋へ米代銀を皆納すると蔵元宛の請取手形、所謂、銀切手をもらう。更に蔵元に持参すれば米方役宛の銀切手に書替えてくれる。この銀切手を米方役に呈示し、米切手の振出しを請求すると米切手を交付してくれる。
米切手を蔵屋敷に持参すれば現物の米が入手できるし、質入れも可能だったし、転売もできた。融通性があり、偽造を恐れた各藩は「字体」の真似ができないように特殊な字を書き、「数字や記号」も入れ、更に「印章」や「朱」の形や大きさにも変化をつけた。極めつけは「すかし」を入れた切手もある。
米切手が切手の役目を終えた時は墨で×に書くか、二三枚に裁断されてしまう。