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大阪商業大学商業史博物館メールマガジン 第139号

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□ 大阪商業大学商業史博物館メールマガジン
■-■      Pull-Top
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■-■-■-■ ─ 第140号 ─
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2018/ 6/30 ━

 ‘Pull-Top’はご存知のとおり、缶コーヒーなどの開け口つまみ付きの
ふたを意味します。ここでは、利用者のみなさんのアイデアのふたを開け
るつまみ口となるような、エピソードや随想を掲載していきたいという想
いが込められています。
 さあ、アイデアの缶詰のふたを開けましょう。

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★帰宅困難者
列車の扉が開く。列の後方からおもむろに足を踏み入れると、いつもの顔
ぶれが並ぶ。4日前の地震の日も同じだった。吊り革を握って、出入り口
付近の人混みで車両に揺られていると、質の違う横揺れが2・3回続き、
Jアラートの剣呑な響きが車両を席巻して電車は止まった。しばらくして、
大阪北部を震源とする震度6弱の強い地震が発生し、指示があるまで車両
待機をするようにアナウンスがあった。なかには、やおら新聞広告を床に
敷いて座り込む人や、ざわつきはじめた車両のあちらこちらでスマホを操
作する姿が目立ち始める。停車地点はJR久宝寺駅の手前で、車窓から外
を眺めると、何事もなかったかのように園児を保育する幼稚園の園庭の風
景があった。同じ大阪でも中東部のこの地域では、それぐらいの揺れしか
感じなかったのである。
時間は9時にさしかかろうとしていた。時間が経過するにしたがい、列車
に一箇所しかないトイレに向かって人ごみをかきわけて移動する列ができ、
乗務員が体調不良の人はいないか声掛けに回ってきた。アナウンスは、直
近の久宝寺駅までの列車の運行許可を要請しているという情報を流してい
たが、10時ごろになって、結局列車の運行許可が出ないので、先頭車両
の一番前の扉から乗務員の誘導に従って線路伝いに徒歩での移動が始まっ
た。比較的後方の車両に乗り合わせた私が、簡易梯子で車両から降りたの
は、もう10時30分を過ぎていた。敷石を踏みしめてゆっくりと歩きな
がら駅のホームへ上ると、周囲の混乱と自分の状況が脳髄にしみ込むよう
に定着し、ある種の諦めを感じ始めていた。
混雑する改札を出て、取りあえずコンビニでホットコーヒーを買って、高
架を降りたところのバス停のベンチに座ってそれを飲んだ。11時ごろ上
司から帰宅指示の連絡が携帯にあった。しかし、問題は列車が不通で身動
きが取れないことである。この時点でタクシーでの移動も考えたが、需要
過剰の長蛇の列。やみくもに乗り付けない路線バスに乗るのもなぁと思い
悩みながら、とりあえず近くのスーパーに入って買い物をして、ホームに
停車中の電車に戻って、乗客もまばらになった車内で、サンドイッチとコ
ーヒーの昼食をとった。
それからはもう放心状態で車内放送に耳を澄ませながら、手持ちの文庫本
を読んで運転再開を待った。当初早くて午後4時ごろの運転再開予定とい
うアナウンスが入り、それがしばらくして早くて午後5時ごろに変更にな
り、文庫本を読み終えたころ、業を煮やして改札に行くと、これがさらに
午後7時にくり延べられた。
この駅からの適切な移動方法を駅員に聞くと、一枚の地図が渡された。駅
員によると、最寄りの久宝寺口駅まで約2キロ、およそ20分歩いて移動
し、運行を開始している近鉄に乗るのがよいという。駅構内に待機してい
た乗客もぞろぞろと改札から少しずつ移動を始めていた。これに促される
ように、私も駅を後にした。歩き始めると、JR久宝寺駅から近鉄久宝寺
口駅までの道筋は、顕正寺などの名刹が残る久宝寺寺内町のおちついた街
並みがある。おかげで、少し風景も楽しみながら久宝寺口駅に辿り着くこ
とができた。
久宝寺口から5時25分の普通で布施に出て、布施から準急に乗って6時
過ぎには生駒に着いた。生駒から混雑した生駒線に乗り換えて、6時半ご
ろに近鉄王寺駅に到着。改札でICカードを当てると、運賃560円の表
示が出た。隣のJRの改札で振替輸送がなかった理由をただすと、受け入
れ側のキャパシティの問題もあって、JRだけで勝手に決められないのだ
そうだ。聞いた自分が恥ずかしくなり、でも一定の納得が得られたことに
満足もし、未だに運休中のJRのホームを横目に見ながらバス乗り場に移
動した。バスはさほど混んではいなかったが、家にたどり着いた時にはす
でに午後7時を過ぎていた。結局その日、JRの運転は再開しなかった。
震災の交通混乱による二次被害を思い知らされた一日であった。
〔2018.6.22記す〕
(池田治司)

┏┓お知らせ
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≪今後の事業予定≫

●平成30年度秋季企画展
 「はかりの文化展」(仮称)

【会期】平成30年10月20日(土)~11月30日(金)〔予定〕
【場所】大阪商業大学商業史博物館2階企画展示室

重さだけに限らず、長さ・角度・広さ・体積・時間などを“はかる”道具は、
いつの時代も生活必需品でした。商取引においても、計量は様々な場面で切
っても切り離せない行為でもあります。当館は近年、大阪日本橋で計量器店
を営み、自ら収集家でもあった故匠原永治氏の計量器コレクションの寄贈を
受けました。この匠原コレクションを核として、歴史的な計量文化の推移を
ふりかえってみたいと思います。乞うご期待!


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