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大阪商業大学商業史博物館メールマガジン 第138号

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□ 大阪商業大学商業史博物館メールマガジン
■-■      Pull-Top
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■-■-■-■ ─ 第138号 ─
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012/ 9/ 3 ━

 ‘Pull-Top’はご存知のとおり、缶コーヒーなどの開け口つまみ付きの
ふたを意味します。ここでは、利用者のみなさんのアイデアのふたを開け
るつまみ口となるような、エピソードや随想を掲載していきたいという想
いが込められています。
 さあ、アイデアの缶詰のふたを開けましょう。

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★出羽三山時空遊行

 8月20日、夜行バスに乗り込む前の腹ごしらえに、ラーメン屋に入っ
てビールセットを頼んだとき、私は奇妙な感慨におそわれた。狭くて薄暗
い店内には、幕を閉じたロンドンオリンピックのNHK放送のテーマソン
グが流れていた。それがなぜか遠い昔の懐メロのように聞こえた。平日の
アベノ地下センターの飲食店街はさほど混み合っていない。天王寺駅周辺
は再開発によって様変わりしていくが、この地下街はその波に取り残され
ている。あと40年も経てばこのオリンピックも歴史となって、日本がメ
ダル獲得数を更新した記念すべき大会として、今の我々が万博を思い出す
ように、世間の人々は懐かしむのだろう。
 夜に始まる旅というのは、人を妄想に誘うのだろうか。夜行バスでの移
動は初めてだ。不安はなかったが、ぎこちない心持ちではあった。その心
の隙間に入り込んだ妄想は、何となく心地よかった。近鉄バスのアルカデ
ィア号は山形行の高速バスである。天王寺を午後7時40分に出発し、山
形駅には翌朝8時前に到着する。途中賤ヶ岳サービスエリアでトイレ休憩
のあと、午後11時には客席全面のカーテンが引かれ消灯となる。目が覚
めたら山形である。少しドラえもんのどこでもドアに似ている。
 今回の旅の目的は、古くからの山岳信仰の山、月山(1984m)への
夏山登山である。その行程は、まさに “路線バス乗り継ぎの旅”であった。
一見聞こえはいいが、山形駅から乗ったバスは、なんと停留所が終点の月
山銘水館前まで、山形駅前を含めて70ヶ所もある。全部に停まるわけで
はないが、終点まで1時間半ほどかかった。そして、その月山銘水館前か
ら月山の登山口である姥沢へ運行している町営バスは1日4本しかなく、
月山銘水館での乗り換えに、また1時間半近くの時間を持て余す。これが
ローカル路線バスの旅の宿命である。運悪く売店や併設された温泉施設も
閉館しており、その持て余した時間を近くの団子屋とそば屋のはしごで何
とか潰した。
 西川町営バスは小型のマイクロバスであったが、行程のほとんどがヘア
ピンカーブで、歩いて登るにはきつい坂道だ。姥沢の停留所からさらに徒
歩で10分間ほどアスファルトの坂道登ると、リフトが見えた。片道分の
リフト券を窓口で申し出ると、「片道ですか?」という返事が返ってきた。
月山登山客のほとんどが日帰り客で、往復乗車券を買うのだ。
 リフトを降りると、お昼の12時半をまわっていた。月山には秋口にな
っても所々に雪景があり、冬の雪の深さがわかる。日差しを遮る山林はな
く、残雪が徐々に解けだして沢になり、その臨界点では水蒸気が立ってい
る。近づけばさぞ涼しいだろうと思うが、登山者の安全と環境保全のため
に、登山道はロープで制限されている。
 下山者とすれ違うたびに言葉を交わすが、その顔ぶれをみると年配者が
多い。中には子供連れや、変ったところでは犬を抱いて下山する人もいた。
とはいえ、「牛首」と呼ばれる湯殿山から通じる道との合流点から先は、
かなり急な傾斜が続き、体力の消耗が激しくなる。時々休んで下を見ると、
どんどん見晴らしが良くなっていくのがわかる。
 山頂にたどり着いた時には3時近くになっていたが、月山神社で少し休
憩したあと、反対側の月山8合目へ向けて下山の途についた。5?あまり
の緩やかな下り。距離はリフトからの登りの1.5倍ほどあるが、ペース
は速くなっている。少し靄がかかって視界が悪くなってきた。すれ違う人
影はめったにない。登山道の所々に小石のピラミッドのような石積みがあ
り、周りの荒涼とした風景とあいまって、やっと霊山の面影を見たような
気がした。
 月山の宿泊所は8合目の御田ヶ原参籠所のみで、そこに宿をとった。宿
に着くとまず、ビールを所望して500ml缶を一気にあおった。酒の肴
に宿の人に話を聞くと、最盛期は7月下旬から8月初めで、その時期は宿
泊客も多いという。お盆を過ぎると花も少なくなり、登山客も減るのだ。
 翌朝、朝食のあとバスの発車まで時間があったので、弥陀ヶ原湿原を散
策した。前日に見たニッコウキスゲやチングルマなどのほかに、ハクサン
チドリやハクサンフウロなどの珍しい花を見つけた。面白いのは湿原のあ
ちこちに小さな池があり、それぞれに違う種類の水草が生育している。ト
ンボやチョウやハチはよく見かけたが、琥珀色の水中には動物が見当たら
ない。しかしよく見ると、イモリが動いた。水底の土の色に同化していた
のである。8合目駐車場の近くまで来ると、庄内平野の胸のすくような田
園風景が一望に見渡せた。
 8合目駐車場から羽黒山頂までは、またバスに乗った。約1時間の乗車
で、9時半頃に羽黒山頂に到着。ここには出羽三山の三神合祭殿がある。
観光パンフレットによると、参道の杉並木がフランスの旅行ガイド「ミシ
ュラン・グリーンガイド・ジャポン」で3つ星を獲得している。2?弱に
わたって2446段の石段が続き、その両脇に樹齢350年~500年の
杉並木が400本以上立ち並んでいる。この威風漂う急な石段を多くの参
拝客が登ってくる。その石段を慎重に下っていくうちに、絵葉書のような
定番化した観光地の風景が次第に網膜に張り付いてきた。
 出羽三山は「死と再生の山」と呼ばれる。これは本地仏として月山に阿
弥陀如来(過去)を羽黒山に観世音菩薩(現在)を、そして湯殿山には大
日如来(未来)をあてているためである。今回は湯殿山を訪れることはで
きなかったが、いわば過去から現在への時空遊行の旅であった。こういえ
ば、こじつけのように聞こえるが、月山と羽黒山との印象の落差を例える
ならば、それが意外にぴったりくる。夜行バスに乗り込む前の妄想も一種
の暗合のように思えてきた。
                          (池田 治司)

┏┓お知らせ
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●大阪商業大学商業史博物館 平成24年度秋季企画「商都大阪の文化力」
の開催と受講者募集
?.展覧会「近世浪華の町人と文人趣味」
【日時】平成24年10月15日(月)~12月1日(土)
【時間】午前10時~午後4時30分
【休館日】日祝日
【観覧料】無料
【会場】大阪商業大学商業史博物館 企画展示室
【趣旨】大坂の商人は質素倹約を旨とし、日々の暮らしは質素であったと
    いわれます。また、店訓や家訓では趣味嗜好が制限されていまし
    た。にもかかわらず、近年注目を集める大阪画壇の作品群でその
    中心となるのは、大坂町人自らが筆をとって描いた文人画なので
    す。木村蒹葭堂は酒造業、岡田米山人は米穀商としての顔を持ち
    ました。ときに大阪城の城詰大名と趣味を通じた歓談が身分を越
    えて成立した、彼らの文雅の嗜みとその世界を紹介します。
【展示品】 佐古文庫から店訓、家訓、古地図、地誌等文献資料
     木村蒹葭堂、岡田米山人、十時梅崖、中井竹山、三宅石庵 等
     (掛軸、巻子、色紙、短冊)

?.連続講座(全5回)「商都大阪の文化力」
 自立する市民の文化意識を論じます。
?9月14日「大阪画壇の可能性」 
 講師:明尾圭造(大阪商業大学商業史博物館主席学芸員)
?9月21日「近代ヨーロッパ都市社会における感覚の共有と文化創造」
 講師:塩田眞典(大阪商業大学大学院教授)
?9月28日「大阪の文芸について」
 講師:石上 敏(大阪商業大学大学院教授)
?10月5日「懐徳堂と町人意識」 
 講師:山中浩之(大阪府立大学名誉教授)
?10月12日「大阪と文人画」
【講師】橋爪節也(大阪大学総合学術博物館館長)
【時間】午後2時~3時30分
【会場】GATEWAY4階ネットワークレクチャールーム
【定員】60名
【受講料】全5回3,000円(締切9月10日)
【受講方法】申込制。事前にFAX、Mailもしくは電話にてお申込みください。
 受講票は発行いたしません。

?.公開シンポジウム「商都大阪の文化力」
 企画展や連続講座を踏まえて、大阪における文化創造の可能性を探ります。 
【日時】10月20日(土)午後1時~4時
【基調講演】「商都大阪の文化力」
 伊木 稔(大阪商業大学商業史博物館館長・大阪商業大学大学院教授)
【報告】「経済人とコレクション」
 武藤治太(國民會館会長・ダイワボウホールディングス相談役)
「文化装置としてのミュージアム」
蓑  豊(兵庫県立美術館館長・金沢21世紀美術館特任館長・
大阪市立美術館名誉館長)
「アジアの中の大阪とその文化」
中谷伸生(関西大学教授)
【パネルディスカッション】
コーディネーター: 明尾圭造(大阪商業大学商業史博物館主席学芸員)
【会 場】大阪商業大学ユニバーシティホール蒼天
【参加費】無料
【定 員】300名
【参加方法】申込制(締切10月15日)。事前にFAX、Mailもしくは電話にて
お申込みください。
【申込方法】
申込は電話・FAX・Emailで受付します。
?氏名?住所?連絡先(電話番号またはEmailアドレス)を明記の上、大阪
商業大学学術研究事務室まで(締切 連続講座:9月10日、シンポジウム:
10月15日)
〒577-8505 東大阪市御厨栄町4-1-10
TEL06(6785)6139/FAX06(6785)6237 
E-mail:hiken@oucow.daishodai.ac.jp


●大阪商業大学商業史博物館「河内学講座」受講者募集
【テーマ】『河内人の万華鏡』
【趣 旨】
 河内の著名な歴史的人物について、最新の研究成果によりその実像を明ら
 かにします。あわせて、縁の地に伝わる伝承やその人物に抱いた思いを河
 内の郷土文化サークルセンターの郷土史家が紹介。河内人の世界にみなさ
 んを誘います。

【各講座時間】14:00~16:00 (受付13:30から) 
第1講  9月 29日(土)
 弓削道鏡 ―女帝と由義宮― 安村 俊史(柏原市立歴史資料館館長)
 道鏡伝承と河内      小林 義孝(摂河泉地域文化研所)
第2講  10月 6日(土)
 楠木正成 ―河内の「悪党」- 小西 瑞恵(大阪樟蔭女子大学学芸学部教授)
 正成は玉串の生まれ     関谷  広(楠木研究会) 
第3講 10月 13日(土)
 畠山政長・義就 ―河内の戦国時代― 小谷 利明(八尾市立歴史民俗資料館館長補佐)
 わが故郷若江と若江城     杉山三記雄(まち・むら文化研究会) 
第4講 10月27日(土)
 お染・久松 ― 誰が「悪人」なのか? ― 石上  敏(大阪商業大学大学院教授)  
 野崎詣の風景           田村 雅子(野崎観音慈眼寺住職夫人)
第5講 11月 3日(土)
 今東光 ―描かれた河内の世界 ― 伊東  健(八尾市役所経済環境部産業政策課
                         魅力創造室室長)  
 わたしの河内の風景       佐野 一雄(河内の表装美術クラブ)        
第6講 11月 10日(土)
 木村重成と藤井氏 ―阿波を介して河内を知る ― 井上 伸一(東大阪市文化振興
                         協会旧河澄家学芸員)
 河内の綿畑           中井 由榮(もんじ文化愛好会)      
第7講 11月 17日(土)  
 北野恒富―近代大阪美人画と東大阪― 明尾 圭造(大阪商業大学商業史博物館主席学芸員)
 小阪かいわい           樋口須賀子(宮本順三記念館豆玩舎zunzo)
   
【会 場】大阪商業大学 ユニバーシティホール『蒼天』
(但し11/10は411教室・11/17は621教室)
     【対 象】一 般、学 生
【定 員】300名(先着順、定員になり次第締め切ります。)
【参加費】全7講で3,000 円
【申込方法】申込は電話・FAX・Emailで受付します。
?氏名?住所?連絡先(電話番号またはEmailアドレス)を明記の上、大阪
商業大学学術研究事務室まで
〒577-8505 大阪府東大阪市御厨栄町4-1-10
TEL 06-6785-6139  FAX 06-6785-6237


●第17回ミュージアムセミナー「近世古文書を語り読む ―中級古文書解読
講座?―」の受講者募集
 近世文書は、江戸時代の人々が遺した大切な文化財であるとともに、現代
に生きる我々にとっても興味の尽きない史料です。当講座では古文書の解読
力と解釈力の養成を趣旨とし、わかりやすく学習できる内容となっておりま
す。
 今回は、当館所蔵の佐古慶三教授収集文書の中から、大坂町奉行所の与力
が記した「同心方支配年中行事」を読み解き、与力の具体的な職務内容につ
いて解説します。
【講師】常松 隆嗣(大阪商業大学・関西大学非常勤講師)
【開講時間】午後1時30分~午後3時30分
【開講日】開講日
 第1講 10月 8日(月)
 第2講 10月15日(月)
 第3講 10月22日(月)
 第4講 10月29日(月)
 第5講 11月 5日(月)
  見学会を予定、午後1時~4時。
 第6講 11月12日(月)
 第7講 11月19日(月)
 第8講 11月26日(月)
 第9講 12月 3日(月)
 第10講 12月10日(月)
 閉講後、講師との茶話会を予定しております。
 ★7回以上出席の方に修了証を授与します。
【場所】大阪商業大学GATEWAY4階??????????????
(ただし、11/5は見学会。詳細は講座の中でご案内いたします。)
【定員】40名(定員になり次第締切)
【受講料】6,000円(開講時徴収)
【テキスト代】1,000円(開講時徴収)
【申込方法】申込は電話・FAX・Emailで受付します。
?氏名?住所?連絡先(電話番号またはEmailアドレス)を明記の上、大阪
商業大学学術研究事務室まで
〒577-8505 大阪府東大阪市御厨栄町4-1-10
TEL 06-6785-6139  FAX 06-6785-6237


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‘Pull-Top’─ 第138号 ─
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■編集・発行/大阪商業大学商業史博物館
〒577-8505
大阪府東大阪市御厨栄町4-1-10
TEL 06-6785-6139
http://moch.daishodai.ac.jp/
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